書籍名 | TOKYO STYLE (ちくま文庫) [文庫] |
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出版社 | 筑摩書房 |
ISBN-10 | 4480038094 |
ISBN-13 | 978-4480038098 |
発売日 | 2003/03 |
商品サイズ | 5×11×2.5cm |
価格 | 1575 |
以前に評判を聞いていて、文庫になったと知り購入しました。ずっと持っていたい本になりましたし、友人知人に紹介しましたよ。最近のインテリア雑誌って、すっきりきれいに暮らしましょう、こだわりのある自分流のインテリアを実現しましょうって感じが強すぎて、ちょっと辟易してたんですが、生活感ありありのこの本のおかげで心が落ち着きました。おしゃれ雑誌に出てくるような暮らしがある反面、こんな暮らしに心地の良さを感じている人たちもたくさんいるんだなって思うと、だんだんと年齢を重ねていくことも怖くなくなるような気がします。命のあるものが暮らしていくのって、そんなにきれいなことばかりじゃないですよね。それをすっかり隠して生きていくのって、そのうちしんどくなるんじゃないのかな。もちろんきれいに片づいた部屋がもっとも居心地のいい人はそうやって暮らしていけばいいと思いますが、そうじゃない人は自分が本当に落ち着く空間で生きていけばいいと思います。人の目を気にしていくのってつまらない、そんなことを強烈に考えながら読んだ本です。
大東京の片隅にひっそりと暮らす普通の人々の部屋を集め、ただそれを眺めていくだけの本ですが、強烈に心に残り続ける本とも言えます。おしゃれな部屋、すっきり片づいたセンスのいい部屋、有名ブランドのシリーズでまとめた家具、流行のなんとかスタイルのインテリアetc、なんてこの本にはひとつも登場していません。しかもそこの住人も登場せず、誰かが暮らしているであろう普通の、古かったり、乱雑だったり、シンクに食器が積み重なってあったり、そんな生活のニオイが充満した部屋が次々に出てきます。おしゃれな部屋も確かに存在しますが、こういった普通のありふれた部屋だって、普通に今の東京に存在しています。そんなたくさんの部屋を眺めていきながら、この時代に生きるリアルさを感じ取ってみませんか。本当に大切なもの、失くしたくないものが見えてくるかもしれませんし、暮らしとは特別に飾り立てるものではなく、特別なことは何もなく淡々と過ぎていく日々の積み重ねだということに気づくかもしれません。何かにとらわれすぎて窮屈になってしまった人々すべてに捧げます。