書籍名 | インテリアと日本人 |
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出版社 | 晶文社 |
ISBN-10 | 4794964269 |
ISBN-13 | 978-4794964267 |
発売日 | 2000/03/01 |
商品サイズ | 8.8×13×2.2cm |
価格 | 2100 |
日本文化に関する論文を書いているのですが、その中でインテリアがどうのように発達してきたのかを調べています。本書はその一環として購入しましたが、実に興味深い一冊でした。すっかり洋風の家が増えてきた昨今ですが、再び日本式家屋というか、和のインテリアが注目されてきている現状なので、今後のインテリア界には注目していきたいですね。
日本を代表するインテリアデザイナーの内田繁さんによる、日本の文化論です。日本のインテリアと日本人の生活様式との密接な結びつきを、過去の絵画や茶室を例に、興味深く解説しています。インテリアデザイナーの視点から、その身体感覚を駆使して日本的な空間の特質と魅力に切り込みます。主な内容は、第一章でインテリアデザインの現在を見ていきます。1.戦後インテリアデザインの流れでは、流通の活性化・工業化社会の矛盾・個人と社会をつなぐインテリアデザインなどを学びます。2.デザインが考えなくてはならない四つの問題として、個人重視・固有文化の尊重・歴史・地球規模で考える、を学びます。3.総合的視野-細分化・専門化を超えては、椅子のデザインの考察です。4.は生きる意味としてのデザインを考えます。第二章では伝統に宿る身体感覚を見ていきます。1.座る文化では、森林に坐す仏教文化・風通しのよい家・坐式生活を考えます。2.沓脱文化では、家という囲みの意味・初源の家・呪術に囲まれた日本の家について考えます。第三章の日本的空間とは何か、では、1.仕切りの構造で、仕切りの方法としての垣・門・閾-聖とケガレの分離、あいまいな建具としての、襖・障子・格子を見ていきます。2.水平の感覚では単純化と装飾・「ウツ」なる空間、3.空白の領域では露地・参道、4.仮設の空間では、日本のカミ・「いま」を取り込む場・野だてを見ていきます。第四章は、インテリアデザインの原点としての茶室の研究です。1.茶室の流れでは、壁の出現・隠遁の住まい・やつしの美・都会のなかの草庵としての歴史に迫ります。2.では、利休・綾部・遠州の茶室を訪ねます。3.では利休・綾部・遠州の露地と庭を見ていきます。4.ではこれまでは総括し、精神の形態化としてのインテリアデザインに迫ります。第五章は現代デザインに見る日本文化です。1.商業空間という戦略、2.自作を通じたデザイン論では、神戸ファッション美術館・門司港ホテル・「受庵」「想庵」「行庵」などの茶室が取り上げられています。